『 M R I vol.1』
《♪ ドンチャカ パカチャカ ドンチャカ パカチャカ ♪》
サンバのリズムが大音響で鳴り響く。
カプセルホテルの寝室のような白い洞の中で、
白いまな板の上に寝かされた僕は、宇宙用のヘルメットか近代ヨーロッパの冑(カブト)のようなものを被せられている。
暫くすると、大きな菜っきり包丁か中華包丁のようなもので、
これまた大音響なのだが、
《 トントン トンドン トントン トンドン 》
僕は千切りにされたり、
あるいは
《 コンゴン コンゴン、 コンゴン コンゴン 》
トンカチで叩かれたりと、
《♪ ドンチャカ パカチャカ ・・・ ♪》
これは頭から首に掛けてのMRI、撮影時の様子の一部だ。
動かないように言われ、およそ15分程度その状態だった。
目を開けていても変化がおきないので、目はほとんどつぶっていた。
冑の中で僕を切り刻む音は止むことなく、けたたましく、鳴り続けている。
《 トントン トンドン トントン トンドン 》
《♪ ドンチャカ パカチャカ ドンチャカ パカチャカ ♪》
サンバのリズム。
検査中に異常を知らせるアラーム用のスイッチ(管の先に空気の入った楕円球のボール:お医者さんが血圧を測る時に使う空気入れのようなもの)を居眠りしそうになった瞬間に落としそうになってしまう。
後残り少しで終わるというところで、生唾を「ゴクリ」と飲んでしまい、喉(ノド)がちょっと太くなり、僅かに動く。
しかし包丁のリズムが変わることはなかった。
《 トントン トントン トントン トントン 》
《♪ ドンチャカ パカチャカ ドンチャカ パカチャカ ♪》
磁力で身体の中を、あっちから、こっちから細かく輪切りにして、それらを合わせ見ると、どこに何があるか分かるというものだ。
40歳も過ぎたので、健康診断で頭の中も見てもらった。
(続く)


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